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「保険は利用してなんぼ」と耳元でささやく悪徳業者



目の前のお金に つられて詐欺の共犯に なることなかれ

リフォーム詐欺には、壊れていないものを「壊れている」と言ったり、 あるいは「今すぐ直さないと後で大変なことになる」と危機感を煽ったりなど、 さまざまな手口があります。 最近はコロナ禍を利用し、「配管を伝って新型コロナウイルスが侵入するかもしれない」 と脅す極めて悪質なものまで報告されています。 今回は、一緒に保険金を騙し取ろうと持ち掛ける悪質な手口の事例を紹介します。

新潟県上越市にお住まいの山県健介さん(仮名・66歳)。 毎年、この地域では冬の大雪で多くの住宅に被害が出ています。 山県さん宅も 2015年に大雪で自宅の雨どいの一部が破損する被害を受けました。 その年はたまたま雪の日が多かったこともあり、山県さんは春になるのを待って 雨どいの修理を行うことにしました。

修理を頼んだのは前年にできたばかりのリフォーム会社でした。 たまたまポストに投函されていたその会社のチラシを見て問い合わせをしたそうです。 「『大雪などで自宅が被害を受けた場合は火災保険を利用すれば 自己負担なしで修理することができます』という宣伝文句が大きく書かれていました。 保険が使えるかどうかも含めて一度話を聞いてみたいと思って問い合わせたんです」 早速やってきたリフォーム会社の担当者は、 すぐに破損した雨どいの確認を行いました。 壊れたのは雨どいの一部だけだったため、山県さんは修理は簡単に終わる ものだと思っていました。ところが担当者は思いもよらぬことを口にしました。

「雨どい自体がだいぶ古くなっているようなので、どうせ直すのであれば、 いっそのこと丸ごと交換しませんか。破損した箇所だけ修理するにしても全部交換する にしても、どっちみち全部保険金で賄えますから安心してください」 なぜ破損した箇所以外のところを新しくするのに保険金が下りるのか、 山県さんは最初は理解できませんでした。

しかし、担当者から詳しく話を聞くにつれ、その理由が分かりました。 「要は、全部雪で壊れたことにして保険金を騙し取ろうと持ち掛けてきたのです。 リフォーム会社からすれば、受注金額が増えるのであればお金の出どころは 私でも保険会社でもどっちでもよいというわけです。 顧客に対して詐欺を持ちかけるなんてとんでもない業者だと思いました」 当然、話を聞いた山県さんはこの提案を断りました。 そんな山県さんに対して営業マンは、「保険は利用してなんぼです。 利用できるときにうまく利用しないと保険金の払い損になりますよ。 ご近所のみなさんもこの方法で自宅を修理されていますよ」と捨てぜりふを残し、 引き上げてしまいました。

その後、山県さんは改めて別の業者に雨どいの修理を依頼し、 破損箇所は無事に元の状態に戻りました。

「改めて修理を頼んだ業者に悪質業者の話をしてみたところ、 被害状況を実際よりも大きく報告して保険金を多くもらおうとする方法は 昔から横行しているということでした。 保険会社の調査員がしっかり現場を確認しさえすれば防げそうなものですが、 実際は忙しい上、金額もそれほど大きくないため、 細かいところまで確認しないこともあるようです。 とはいえ、 ウソがばれたときのことを考えると私は怖くてできません」 最近は、雪や雨、風などで破損した箇所については 火災保険で修理ができることが広く知られるようになりました。

それもあってか火災保険を悪用した詐欺が頻発しています。 何より問題なのは、この手口は同意した時点で依頼者が共犯者となってしまうことです。 このような話を持ち掛けられた時には、 目先のお金に目をくらますことなく断固として断りましょう。 リフォーム詐欺に関するご相談はお近くの全国優良リフォーム会員まで。


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