昔と違い、最近は犬や猫は家の中で飼われるケースがほとんどです。
しかし、動物たちの性格や習性などに配慮していない住宅で安易にペットを飼ってしまうと、家の資産価値を下げたり、ペットに負担を強いることになりかねません。
今回は、戸建住宅をペット仕様に改装した事例をご紹介します。
息子の自立を機にワンちゃんの飼育開始
「これからの余生は、妻と愛犬と一緒に穏やかに過ごしたい」
2年ほど前に息子さんが家を出たのを機に、生後3カ月のフレンチ・ ブルドッグを飼い始めたという秋本夫妻。
ワンちゃんが家に来てから2カ月、感じたのは、こまめに換気をしていても犬のニオイは想像以上に部屋の中に残るということ。
そこでご夫婦は、愛犬との生活を快適なものにするため、築40年になる自宅マンションを約400万円をかけてフルリフォームしました。
部屋に残るワンちゃんのニオイを最小限に抑えるため、壁紙は消臭効果のあるサンゲツ社製の「ファインクロス」を採用。
耐久性に優れたタイプのものも選択肢としてあったそうですが、幸いにも秋本夫妻のワンちゃんは壁を引っかく癖がなかったため、消臭効果を最優先にしたとのこと。
さらに対策は続きます。
フレンチ・ブルドッグのような短毛の犬種は、 毛の長いワンちゃんと比べて体臭が強いため、ご夫妻は天井に埋め込むタイプの消臭機器も設置することにしました。
選んだのは、パナソニックから発売されている「ナノイー発生器」でした。
これは、空気中に潜むウイルスや菌、アレル物質などの汚染物質の働きを抑制する微粒子イオンを発生させるための機器で、ペットのニオイだけでなく、花粉やPM2.5、カビ対策にもおススメです。
同社の実験によると、8時間稼働させるだけで、たばこのニオイを90%も低減させることができるそうです。
薄型でインテリア性の高い形状のため、部屋のデザインを邪魔することもありません。
ウォークインクローゼットやシューズクロークなど、ニオイがこもりがちな小さなスペースにも、難なく設置することができます。
フローリングは、コーティング剤を使ってニオイ対策を行いました。
表面部分が特殊な塗膜でしっかり覆われるため、万が一ワンちゃんが粗相をした場合も、水拭きするだけでニオイのもとをしっかり取り除くことができます。
もちろん、トイレのしつけが完璧にできていることが一番望ましいですが、生後数カ月の間は粗相は付きもの。
対策しておくに越したことはありません。
これだけしっかりとニオイ対策を行えばもう安心。
その効果は抜群で、部屋の中からは、ワンちゃんのニオイはもちろん、嫌なニオイは一切なくなったそうです。
壁紙に気になるニオイが染み付くこともありません。
ワンちゃん愛に溢れる家 せっかくですので、ニオイ対策以外の部分にも触れておきましょう。 ワンちゃんは本能的に狭い穴ぐらのような場所を好む動物です。
日中はリビングで元気に駆け回っていても、休む時は自分だけのプライベート空間に入りたがります。 そこで秋本夫妻は、リビングに作り付けた収納棚の下に、クレートを置けるくらいのワンちゃん専用のスペースを設けました。 ワンちゃんはこの場所が大変気に入った様子で、エサを食べるとき以外、呼ばない限り出てこない日もあるのだとか。 また、リビングと廊下を隔てるドアには、ワンちゃんが通り抜けられるサイズの小さな扉を設置。 ご夫妻が外出先から帰ってきたときは、 いの一番に玄関まで迎えに出られるようにしました。 ご夫妻も、玄関先まで愛犬が出迎えに来てくれると大喜びです。
また、雨などで外に散歩に行けない時に備え、バルコニーはドッグランとしても使えるように改装。 人工芝を敷き詰め、角には足洗い場まで設置しました。 さらに、洗面所でワンちゃんのシャンプーができるように、大型のシンクを導入した点も見逃せません。 見れば見るほど、ワンちゃん愛が感じられる家に仕上がっています。
ペットにとって快適な家は、人にとっても快適なものです。 ◆『住生活新聞』2020年2月号(044号)より
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