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【50年健築住宅】主人がヒートショックで亡くなったのを機に家の断熱工事を実施 !



みなさんは「ヒートショック」という言葉を聞いたことがありますか? 「ヒートショック」とは、温度差のある部屋を行き来することで血圧が上 がったり下がったりを繰り返し、それによって心臓に負担がかかって心筋梗塞や脳卒中を引き起こす症状のことをいいます。



暖かい部屋から寒いお風呂場に移動することになる冬に多いイメージがありますが、春や夏などでも温度差のある部屋を行き来すれば起こる 可能性があります。 今回はヒートショックを予防する断熱リフォームついて 事例をま交えてご紹介します。

静岡県浜松市在住の玉木良子さん(仮名・62歳)は、2015年の3月 に8歳上のご主人を亡くされました。 夕食前、いつものようにお風呂に入ったご主人が1時間近く経っても出 てこないことから、良子さんが浴室に様子を見に行ったところ、浴槽の縁 にもたれかかるようにご主人が倒れていたそうです。 すぐに救急車を呼ん だものの、到着したときにはすでに息はなく、その場で死亡が確認されま した。

診断の結果、死因は心筋梗塞と分かりました。 医者からは、暖房の利いた暖かい部屋から急に寒い浴室に移動したことでヒートショックが起きたのではないかと説明を受けたそうです。 ヒートショックが原因だと聞いて良子さんはとても驚いたそうです。

というのも、ご主人は普段から健康管理に気を使っていて心臓に負担がかからないように暖かい部屋から寒い部屋に移動するときは細心の注意を 払っていたからです。 しかし、事故が起きたのは3月。暦の上ではもう春で、 実際、ご主人が亡くなる前日までは暖かい日が続いていました。

しかし、 事故当日に限って急に気温が下がり、居間では暖房をつけていました。 当日を除けばすっかり暖かくなっていたため、もしかすると、ご主人も油断してしまったのかもしれません。 事故から3カ月後、良子さんは息子さんからある提案を受けました。

ヒートショックはいつ起こるか分かりません。少しでも事故のリスクを少 なくするため、家の断熱性能を上げて、ヒートショックの起きにくい家にリフォームしようというのです。 実際、良子さんのお住まいは築35年と古く、 断熱性能はそれほど高くありません。 エアコンの効果も長続きせず、電気代も高くなりがちでした。 良子さんは息子さんの提案を受け入れ、家の断熱工事を行うことにし ました。

最初に行ったのは、壁と床、天井の断熱工事でした。 一般的な断熱工事は、既存の壁や床を剥がし内部に断熱材を仕込みますが、それだと工期や時間がかかるため、玉木さん宅では今ある壁や床の上に直接施工することができる断熱材を使用して工事を行いました。 この方法であれば、施工が非常に簡単な上に部屋単位で工事を進めることができるため一時的に別の場所に引っ越す必要がありません。

続いて行ったのは窓をペアサッシにする工事でした。 壁や床の工事も 大切ですが、熱の出入りが最も多いのは何といっても「窓」です。 「窓」 のリフォームなくして本当の断熱効果を得ることはできません。 ただ、窓を建具から外してすべて交換するとなると、かなりの費用がかかってしまいます。 そこで玉木さん宅では既存の窓に取り付けるだけで窓 を二重化できる後付けタイプのサッシを使用しました。 最後に行ったのは室温が下がりがちな脱衣場とトイレへの暖房機器の設置でした。 ともに、スペース的な問題からエアコンの設置が難しかったためセラミックファンヒーターを設置しました。これで冬でも脱衣場やトイレを暖かい状態で使用することができます。 工事完了までに要した期間はわずか3週間弱。

大掛かりな工事の伴わない部材を使ったため、家全体の断熱性能を高める工事だったにもかかわらず費用も400万円程度に抑えることができたそうです。

屋内の温度を一定にすることは、ヒートショックの予防だけでなく、不 眠や下痢、便秘といったさまざまな体調不良を防ぐことにもつながります。 健康な生活を続けるためにもこの機会に一度、家の断熱リフォームを検討してみてはいかがでしょうか? ◆『住生活新聞』2021年4月号(058号)より

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