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【自然災害に対応した火災保険の使い方】浸水被害には保険金が下りないケースもあります!




秋口に最も多い自然災害は何か?

こう聞かれれば、多くの方は台風を思い浮かべるではないでしょうか。

しかし、秋口に多いのは台風だけではありません。 「秋雨前線」という言葉があるように、秋は前線の影響で台風の有無にかかわらず大雨 が降りやすい時期でもあります。 みなさんは水災への備えは万全でしょうか?

もしもの場合に備えた火災保険の活用法について解説します。 ==========

豪雨や暴風雨、台風による洪水や土砂崩れなどでご自宅が被害を受けたときに火災保険が役立つことをご存知でしょうか。 実は、台風による被害は「風災」、洪水や高潮、台風による床下浸水などは「水災」として、それぞれ火災保険の補償対象になっています。 もちろん、契約内容によってはこれらが補償の対象から外されてしまっているケースもありますが、現在加入できる損害保険のほとんどには基本条項として水災補償が付帯されています。 こう聞くと

「火災保険では『火災』だけが補償対象じゃないの?」 と驚かれる方もいますが、心配な方は契約書を確認してみてください。

「近所の川が氾濫して家が床上浸水した。幸い火災保険の水災補償が適用されて、修理などにかかった費用は全額賄うことができた。もし保険が適されていなかったら今頃どうなっていたか...」 昨年の9月に関東地方を襲った豪雨の際に起こった近所の河川の氾濫で、川崎市に在住の太田裕介さん[仮名]のご自宅は、床上浸水の被害を受けました。 しばらくの間、生活面で色々と苦労をしたそうですが、ご自宅の修理に関しては保険金が下りたため、自己負担はほとんどなく、無事に終えることができたそうです。 このときの水災では、太田さんのお宅以外にもたくさんの家が浸水被害を受けました。 しかし、全ての家が太田さん宅と同じように火災保険の水災補償が適用されたわけではありません。 ですから、どういった状況であれば保険金が下りるのか、事前によく確認しておく必要があります。 一般的な火災保険の水災の保険金の支払要件は、 ・建物もしくは家財がそれぞれ時価の30%以上の損害を受けた・床上浸水または地盤面から45cmを超える浸水が起きた と規定されています。

つまり床下浸水があったとしても、それが地盤面から45cmに満たなかった場合は補償の対象外となってしまうのです。 45cmというと成人男性の膝くらいの高さになりますので、原則として床上浸水したとき、あるいは時価の30%の被害を受けた場合に水災として認められると認識しておくとよいでしょう。

なお、水災で保険金を請求する場合は、市区町村で発行される罹災(りさい)証明が必要になります。 また、次のようなケースも補償の対象外となります。 ・建物の老朽化で発生した雨の吹き込みや漏入によって家財が被害を受けた。・大雨や台風で車が水没した・豪雨で自宅の塀が崩れて隣家に被害を与えた・大雨で転んでケガをした

最後に、保険が適用されるとして、もらえる保険金はどのくらいになるのか見ておきましょう。 これは、加入プランや被害状況により異なります。 例えばA社の保険を 見てみると、45cm以上の床下浸水による被害が時価の15%未満と15% 以上で支払金額は大きく変わります。 前者は100万円を上限に、保険金額×5%、後者は200万円を上限に保険金額×10%となっています。 商品によっては、掛け金は高くなるものの損害を100%補償してくれるものもあるようです。 被害状況によっては、保険金がもらえるかどうか、素人目ではなかなか判断できないことがあります。

まずは今のうちに保険の契約内容を見直すところから始めてみてはいかがでしょうか。 ◆『住生活新聞』2020年10月号(052号)より

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