「床が滑りにくい」
「壁がキズ付きにくい」
「部屋にニオイが残りにくい」
ペットに配慮した住まいは人にとっても住み心地が良いものです。
ペットと共に快適な暮らしを送るためにも、ワンちゃんや猫ちゃんを飼われている方はペットに配慮した空間造りにチャレンジしてみませんか?
ペットリフォー ムの事例を取材しました。
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今から3年前に神奈川県川崎市で中古の一戸建てを購入した中島勝史さん(仮名) 一家。
家族全員が犬好きであるにもかかわらず、それまでは賃貸マンション暮らしだったため飼うことができませんでしたが、新生活をス タートしたのを機にワンちゃんを飼い始めました。
新しい家族の一員として迎えられたワンちゃんは生後2カ月の豆柴のオス。
とてもわんぱくな性格で家に来た初日から家の中を走り回っていたそうです。
間もなくしてしつけを始めたものの、遊びたい盛りのワンちゃんは何を教えてもなかなか覚えてくれません。
そのうち床を爪で引っかいたり壁に身体をこすりつけたりするようになり、ワンちゃんが家にやってきてから1カ月後 にはリビングの床と壁はボロボロになってしまったそうです。
かかりつけのペット病院の先生からは「もう少し成長すればわんぱくもある程度はおさまります」とアドバイスされ、それで多少は安心したものの、 そうかといってこのまま何の対策もしないのは不安だと感じた中島さんは、 どうせ内装をやり直すのであればワンちゃんの習性にも配慮したリフォーム をしようと考えました。
早速、近所のリフォーム会社に相談したところ、いくつかの提案を受けました。
床には木材の風合いをリアルに再現したフロアタイルをセレクト。
表面に施された特殊なコーティングは、爪から床を守るだけでなく、ワンちゃんが走って転ぶのも防いでくれます。
コーティング剤には水を弾く効果もあるため、ワンちゃんが粗相をしてしまった場合も安心です。
また、万が一、キズ が付いてしまった場合は、そこだけ部分的に貼り換えることができます。
中島さんは夫婦で交友関係が広く、賃貸時代からよく友人が遊びに来ていたことから、壁にはニオイを吸着して分解する機能がある壁紙を施工。
これで、ペットを飼っていない友人たちが遊びに来てもワンちゃんのニオイで不快になることはありません。
また、壁にはもう一つ工夫を。
壁で爪を研いでも大丈夫なように頑丈な腰高パネルを設置しました。
最近は強度にすぐれた壁紙も各メーカーから発売されていますが、壁紙である以上、繰り返し爪で引っかけばいつかは破れてしまいます。
腰高パネルを設置した方が引っ掻き対策としては効果的ですし、キズが付いた場合も補修して見た目にほとんど分からなくするこ とができます。
さらに、中島さんはニオイに対してさらに万全を期すため、高機能の空気清浄機を導入しました。
だいたい5万円前後するものであれば、空気中のペットのニオイを取り除いてくれる機能が付いているので、部屋の中にわずかでもニオイを残したくないという方にはおススメです。
ただ、ワンちゃんの場合、きちんと定期的に体を洗ってあげれば、そこまで完璧にニオイ対策をする必要はないかと思います。
また、中島さん宅はリビングに2階へ上がるための階段があったため、階段下のデッドスペースを使ってワンちゃん専用のくつろぎスペースを用意し てあげたそうです。
犬はもともと狭い洞穴を好む習性があるので、他に使い道のなさそうな 空間があるお宅は、ぜひワンちゃんのプライベートスペースにしてあげてく ださい。
最後にもう一つ、中島さん宅の玄関は段差があるため、ワンちゃんが上り下りしやすいように専用の階段を取り付けてあげました。
リフォーム後もワンちゃんはしばらくの間、部屋の中を走り回ったり、ときには壁に身体や爪をこすりつけていたそうですが、丈夫なフロアタイルや建具のおかげで室内はほとんどキズ付かなかったそうです。
また、ニオイについては、 10日から2週間程度おきにしっかり体を洗ってあげていることもあり気にする人はほとんどいないそうです。 ペットを飼われている方、 あるいはこれからペットを飼おうと思っている方は、この機会にぜひペットに配慮したリフォームを検討してみてください。 ◆『住生活新聞』2021年5月号(059号)より