国や自治体が、特定の条件を満たしたリフォーム工事に対して補助金や助成金を出しているのをご存知でしょうか?
中には 補助額が100万円を超えるものもあり、毎年多くの方が利用しています。
補助金制度を活用したリフォーム事例を取材しました。
「古い家でエアコンの効きが悪く、夏場は電気代が普段の倍以上かかっていた。ところがリフォーム後はエアコンのスイッチを切っても室内の涼しさが長持ちするようになったため、普段通りの電気代で済むようになった」
こう話すのは東京都墨田区に在住の山崎博さん(仮名)です。
山崎さんのお宅は昭和52年に建てられた木造戸建て。
平成29年に築40年にして初となる大規模リフォームを行いました。
リフォームするにあたり、山崎さんは地元で20年以上のリフォーム実績がある工務店に見積もりを依頼しました。
山崎さんがリフォームのために用意した予算は1000万円。
この予算内で 家全体の断熱性を上げ、老朽化した水回り設備を一新したいと考えていました。
しかし、工務店もがんばりましたが、最終的な見積金額は1100万円と、予算を100万円も超えることに。
さすがに100万円もオーバーしていては、山崎さんもどうにもなりません。
どこかの工事を諦めて、予算内に収まるように調整するかと考えた矢先、工務店の担当者からある提案がなされました。
「断熱工事を行う際に利用できる補助金制度があるかもしれません。一度、自治体やネットに情報を確認してみましょう。うまくいけば、予算内でご希望の工事がすべてできるかもしれません」
補助金制度の存在を知らなかった山崎さんは大変驚き、助言 を受けたその日のうちに区役所に足を運びました。
一方で工務店の担当者はネットで情報を収集。
結果、最大で120万円が支給される補助金制度に申請することができたそうです。
山崎さんが実際に利用した制度は、自治体のものではなく、 一般社団法人環境共創イニシアチブという機関が主導している 「高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業」というものでした。
これは、戸建て住宅であれば最大120万円が支給される、補助金額の大きな制度です。
補助対象となるのは高性能なガラスや窓、断熱材などを使ったリフォーム工事です。
山崎さん宅は、窓をペアサッシに変更し、また、壁や天井には断熱材を施工する工事を行う計画だったため、補助の条件を満たすことができました。
満額の120万円の補助が出たということで、最終的に予算が20万円余ることになりました。
そこで山崎さんは、リビングと寝室のエアコンを最新機種に買い替えました。 「担当者が補助金制度のことを教えてくれなかったら、妻が希望していたキッチンと浴室の改装を諦めなければなりませんでした。危うく夫婦関係に亀裂が入るところでしたが、何もなく無事に工事を終えられて良かったです」 ここで紹介したものも含め、補助金制度には予算枠があります。 申請期間中であっても、予算がなくなってしまえば、その時点でその年度は補助を受けることができなくなります。 リフォー ム工事をする場合は、新しい年度に切り替わったタイミングでで きるだけ早く申請することをおすすめします。 ◆『住生活新聞』2021年8月号(062号)より