リフォームをしようと思うきっかけは人によりさまざまですが、 中には予算が足りなくて諦めたという方もいるのではないでしょうか。
しかし、助成金・補助金制度を上手に活用すれば、予算が足りなくても思い通りのフォームができるかもしれません。
補助金制度を使ったリフォーム事例をご紹介します。
==========
「小さな地震が起きただけでも家中からギシギシという音が聞こえる。不安だから耐震補強したいけれど、老後の生活のことを考えるとできるだけ貯蓄を減らしたくない。どうしたものか...」
埼玉県所沢市に在住の橋本豊さんのご自宅は、昭和45年建築の2階建ての木造住宅。
新築で購入して以来、ほとんど改装らしい改装はしておらず、家のあちらこちらに痛みが生じていました。
地震のときはもちろん、廊下を歩くだけでも家中から軋む音が聞こえるような状態で、奥様ともども不安を抱きながら過ごしてい ました。
耐震補強工事をしようと決意したのは2017年。
震度3の地震が起きた際に、玄関の引き戸が開かなくなってしまったことがきっかけでした。
すぐに地元の工務店に相談したところ、
「古い家ですから、今回の地震で家の構造に歪みが生じてしまったのかもしれません。 これ以上放っておくのは危険ですから、一刻も早く耐震補強するなり対策をした方がよいですよ」
とアドバイスを受け、奥様とも相談の上、工事をすることにしました。
問題は予算でした。
ある程度の蓄えはあったものの、それはご夫婦が老後のためにと準備してきた生活資金だったため、あまり多くを使うことはできません。
結局、用意できたのは100万円でした。
一方、工務店が算出した工事費用は120万円。予算は20万円足りませんでした。
そこで工務店は橋本さんに対して補助金を申請してみてはどうかと提案しました。
いくつかの候補の中から橋本さんが選んだのは、リフォーム工事で耐震・耐久・省エネ性をすることを前提に、最大200万円が補助される国交省の『長期優良住宅化リフォーム事業』でした。
「これを活用すれば、橋本さんが準備した資金と合わせかなり充実した内容の工事ができます」
工務店はすぐにプランを練り直し、耐震補強工事に加え断熱内窓の設 置と壁・天井への断熱、屋根の改修なども盛り込み、橋本さんに提案しました。 結果、総工事費は350万円となりましたが、250万円の補助金がおりることになったため、予算内でより充実した内容の工事を行えることになり ました。 橋本さん宅リフォーム工事費内訳
◆耐震補強工事・・・120万円
◆断熱内窓の設置・・18万円
◆壁/天井の断熱・・.82万円
◆屋根の改修・・・・100万円
◆内装工事・・・・・30万円=合計350万円
実際に工事を行った工務店によると、躯体は想像以上に傷んでいて、 柱の何本かは朽ちて土台から浮いた状態になっていたそうです。
工事をするのがもう少し遅かったら、取り返しのつかないことになっていたかもしれないとのことでした。
橋本さんにとっては、引き戸が開かなくなって良かったのかもしれません。
みなさんも予算がないからといってすぐに諦めずに、まずは利用できる 補助金・助成金制度がないか調べてみてはいかがでしょうか。 ●『住生活新聞』2020年9月号(051号)より
Comments