リフォームからしばらくして頻繁に体調不良に襲われるようになった一
最近、こんな話をよく耳にします。
なぜリフォームしたばかりの家で健康被害が発生するのでしょうか。
リフォームの落とし穴について実例をもとに解説します。
「妻と快適な余生を送るために定年退職を機に長年住み続けた自宅をリフォームしました。しかし、期待とは裏腹にリフォーム後しばらくして 思わぬ事態に見舞われました」
こう話すのは、今から4年前に当時で築35年にある自宅をフルリノ ベーションしたという小松信二郎さん(仮名・69歳)です。
小松さんが言う「思わぬ事態」とは奥さんの体調不良です。
新しく生まれ変わった自宅での新生活をスタートさせて半月ほどが経過したある日、奥さんが強い目まいに襲われて倒れました。
信二郎さんが慌てて病院に連れていったところ、奥さんはその日のうちに体調が回復し自宅に戻りました。
しかし、翌日になると、奥さんは再び体調不良を訴えました。 しかし、 病院で診察を受けさせても原因は分からずじまい。
結局、大事を取っ て奥さんはその日は入院することになり、信二郎さんは一人で自宅に 戻りました。
「それまで妻はずっと健康で病気らしい病気はほとんどしていませんでした。それが突然どうして...と思いました」
翌日、奥さんはすっかり元気を取り戻していました。
安心した信二郎 さんは、気分転換にと、その日は自宅から車で1時間半ほどの場所にある温泉宿で一泊することを提案し、奥さんもそれを快諾しました。
しかし、温泉宿から戻った小松さん夫婦にまたも予想外の出来事が起こります。 何と、今度は夫婦そろって強い頭痛に襲われたのです。
「最近、自分たちの周りで変わったものといえば、家の環境だけだ。もしかしたらリフォームに原因があるのかもしれない...」
直感的にそう感じた信二郎さんは体調が回復するとすぐ知り合いの建築士のもとを訪れ、これまでのいきさつについて詳しく説明しました。
話を聞いた建築士は次のような見解を述べました。
「自宅を見ていない段階でははっきりしたことは言えませんが、リフォーム後に体調不良になるケースは最近割とよくあります。原因はリフォームで使用した建材などに含まれている有害物質で、家の気密性 も相まって発症することが多いようです」
これを聞いた信二郎さんにはいくつか思い当たることがありました。
「夫婦ともに60代後半であることを考え、シックハウス症候群対策にと気密性を高めるリフォームを行ったんです。それがかえって有害物質がたまりやすくなる原因になってしまっていたようです」
信二郎さんは建築士と相談の上、追加で24時間換気システムを設置し、家の換気性を上げることにしました。
加えて普段から日中の換気に気を配り家の中に有害物質がたまらないように心掛けました。
する と、有害物質の発生もだいぶ落ち着いたのか、半年ほどもするとほとんど頭痛や目まいを感じることはなくなったそうです。
「このまま症状が治まらなければ再び家をリフォームすることも覚悟していました。それが今ではすっかり症状も落ち着き、快適な生活を送ることができています」
リフォームで使う建材の中には、多かれ少なかれ、有害物質の類が含まれているものがあります。
そうした物質を含まない建材を100% 使用できるのであればそれにこしたことはありませんが、現実的にそれは難しいのが実情です。それゆえ、リフォームを行う際は換気や気密性にも十分配慮するようにしてください。
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『住生活新聞』2021年6月号(060号)より
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