リフォームで使われる建具や建材には人体に悪影響を及ぼすかもしれない有害物質が含まれていることがあります。 放出される有害物質がわずかであっても頭痛や吐き気を起こす人もいます。 今回もリフォーム工事が原因で起きた健康被害を取材しました。
「リフォームしたばかりのトイレから出てきた妻が体調不良を訴えた。おかしいと思って確認したら、わずかに刺激臭のようなものを感じた」
兵庫県神戸市に在住の大城孝之さんは、2015年の秋に、当時、 築30年の木造戸建のトイレをリフォームしました。
温水洗浄機能のない古いタイプのトイレはリフォームによって、自動洗浄や節水といった機能を備えた最新のトイレに生まれ変わりました。
「ショールームで試しに座ってみたところ、座り心地から何から何まで違うので本当に驚きました。
これならトイレでゆっくり考え事をしたり、 本を読んだりしたりできるなと期待は膨らむばかりでした」
しかし、そんな大城さんを悲劇が襲いました。リフォーム工事が終わってから数日たったある日、大城さんの奥様はトイレから出て来るなり次のように言ったのです。
「新しいトイレは座っていると何だか目まいがしてくる。何かおかしくない?」
「そんなバカなことがあるか」と思った大城さんは、このときはただの勘違いだろうと奥様の言葉を聞き流したそうです。
しかし、その後もトイレから出てくるたびに奥様が「頭が痛い」「吐き気がする」と言い続けたため、さすがに心配になって工事を頼んだリフォーム会社に確認のため連絡しました。
するとリフォーム会社の担当者は次のように回答したそうです。
「工事直後にはよくあることです。接着剤のニオイはどうしても多少刺激がありますので少しの間我慢してください。そのうちなくなりますよ」
「そういうものなのか」ととりあえず納得した大城さんは妻に事情を説明し、しばらく様子を見ることにしました。
しかし、2週間たっても3週間たっても状況は改善しません。
それどころか、最初は何の異変も感じていなかった大城さん自身もトイレに籠っていると吐き気を感じたり、軽い頭痛のようなものを感じるようになりました。
さすがに「これは異常だ」と感じた大城さんは知り合いの建築士に相談しました。
「リフォーム会社の言うことには一理あるが、それにしてもリフォームからひと月近くたつのに状況が改善されないのはおかしい。
もしかしたら接着剤だけでなく、床や壁に使用した建材にも問題があったのかもしれない」
建築士からそうアドバイスされた大城さんは、再びリフォーム会社に連絡を取り、改修にどんな建材を使ったのか確認しました。
「壁と天井に過去に使ったことのない合板を使用していたことが分かりました。調べてみたところ、普段使っている合板よりも有害物質が 若干ですが多く含まれていることが判明したそうです」
リフォーム会社は自分達の過失を認め、そのあとすぐにトイレのリフォームをやり直してくれたそうです。
「壁や天井を作り替えてくれた他、換気扇も少し強力なものに変えてくれました。もちろん、すべて無料で対応してくれました。素早い対応で感謝しています」
再改修後、状況は改善。大城さんも奥様もトイレで体調に異変を感じることはなくなったそうです。
「今では最初に思い描いていたように考え事をするときはトイレにこもっています。そのたびに、『使いたいから早く出てきて!』と妻に怒られています(笑)」
リフォーム直後の健康不良は決して珍しいことではありませんが、ほとんどの場合、数日から1週間程度で状況は改善します。
もし1週間以上たっても状況が改善しない場合はもしかしたら使った建材などに原因があるのかもしれません。
◆『住生活新聞』2022年1月号(067号)より
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